吉野山(奈良県吉野町)H23.4.16
吉野山は、奈良県中央部にある金峯山寺を中心として社寺が点在する地域です。奈良時代に修験道の開祖である役行者が金峯山(吉野~大峰)に修験の霊場を開いたのが最初で、その後中世にかけて修験場のメッカとして栄えました。1924年(大正13年)には国の名勝・史跡に指定され、1936年(昭和11年)には吉野熊野国立公園に指定されました。また、2004年(平成16年)には吉野山・高野山から熊野にかけての霊場と参詣道が「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産として登録されました。

1990年(平成2年)には日本さくら名所100選にも選ばれましたが、元々吉野山は昔から桜が多いのには訳がありました。役行者が修行中に金剛蔵王権現をお祈りする際、その姿をヤマザクラの木に刻み、お祀りしたことが始まりであると言われています。以来、花見のためにではなく、蔵王権現や役行者に対する信仰の証として、平安時代から信者たちによって献木として植え続けられ、現在の3万本に及ぶ桜が存在するようになりました。そのため吉野山の桜の殆どがシロヤマザクラです。

高低差のある吉野山では、地域ごとに下千本・中千本・上千本・奥千本と呼ばれています。4月上旬から下旬にかけて順に開花していくため、長い間桜を見ることが出来ます。一般的に 
 「下千本」→近鉄吉野駅から七曲坂の間

 「中千本」→五郎兵衛茶屋から如意輪寺の間
 「上千本」→火の見櫓から花矢倉の間
 「奥千本」→高城山・金峯神社と苔清水・西行庵付近   とされています。

また、昔は高城山から金峯神社の間に桜があったり、六田駅から下千本に至る道にも桜並木があった時期があったものの、今はありません。逆に苔清水・西行庵付近には2015年に1000本もの桜を植樹していたりと、桜の存在する位置が変わっています。

私も今まで吉野山を4度訪れました。平成4年の秋に初めて訪れ、その後平成5年の春、平成11年の春、そして今回掲載の平成23年の春です。最初はただ山に登っただけ、2度目はインスタントカメラ片手に奥千本まで行ったものの撮影は全然ダメで、3度目は到着時間が遅かった上に天候も悪く、4度目でやっと撮影できた次第です。但し、4度目の時は開花の都合で中千本で引き返したので、更に上の桜を見るためにも再訪したいと思います。