実相寺(山梨県北杜市)H19.4.7
実相寺は日蓮宗の寺院で、身延山久遠寺の直末の寺院となります。元は真言宗の寺院でしたが、永和元年(1375年)に身延山の僧・日應がその寺院を譲り受け、大津山實相寺と改称しました。その後、永禄4年(1561年)、川中島の合戦にあたって、武田信玄が武運長久の祈願のため、城址を寺に寄進し、その場所に移転したのが現在の実相寺となります。その後は多くの伽藍が建立される等繁栄したものの、元文元年(1735年)及び弘化4年(1848年)の二度の火災で全てを焼失し、歴史的建造物や寺宝等は一切残っていないとのことです。

この実相寺には、「山高神代桜」という有名な桜があります。神代桜は、樹齢2000年とも言われるエゾヒガン種の古木で、「薄墨桜(岐阜県本巣市)」「滝桜(福島県三春町)」と並び日本三大桜の一つとされています。伝説によると、日本武尊が東国への遠征の際にこの桜を植えたと言われています。大正11年に国の天然記念物に指定された際には、高さ13.6m、枝張り東西27.0m、南北30.6m、高さ1.5m幹回り10.6mとのことでした。幾度となく自然災害に遭い、最盛期より小さくはなったものの、現在も大きな姿を保っています。

実は実相寺について「桜がある」としか知らずに訪れたのですが、入口左側一体の境内に黄色い花畑(花の名前が分かりません)があり、その周りを桜が囲んでいる状態でした。桜は大きいものが多く、綺麗な風景でしたが、寺の周りには塀がないため、その側の人工物がそのまま見えてしまうのがすごく残念でした。なお、境内には上記「薄墨桜」「滝桜」の他、「身延山久遠寺の桜」「臥龍桜(岐阜県高山市)」と、全国の銘木の子桜を植栽しているのには驚きました。まだ細くて小さい木でしたが、「身延山久遠寺の桜」だけはかなり大きく、境内一の見ごたえのあるシダレザクラとなっていました。訪れてからも数年経っていますが、大きく育つのが楽しみです。

それらの桜の隅っこの方に神代桜はありました。一番外側にポツンとあったので、始めは気づきませんでした。昔は上にも樹木が伸びていてかなり大きい桜だったそうですが、今は幹が折れて短い切り株が残っている感じでした。痛々しい姿でしたが、横に枝を伸ばした先には綺麗な花を咲かせていたので、これからも頑張って咲き続けてほしいと思いました。